妄毒シチュー
いい感じにアルコールが回ってきて、めんどくさがりに拍車がかかったあたしは、本日3本目のビールをぐびぐび飲みながらゴミ袋の中に次々に放り込まれる思い出の品をぼんやりと眺めていた。
「あー、まじめに働いたらお腹すいたー!」
一通り掃除が終わった部屋で、床にぺたんと座り込んで叫ぶその姿が、なんだか子どもみたいだ。
ついエサを与えたくなってしまう。
外見が整ってるって、絶対得だと思う。
「シチューならあるよ?」
あたしがそう言うと、自称天使はシッポをふる子犬のような顔で食いついてきた。
「マジで?シチュー食べたい!」
「勝手に食べていいよ。キッチンの赤いお鍋」
「やったー!」
彼は軽い足取りでキッチンに向かい、コンロの上に乗っていた赤いお鍋の蓋を開けて振り返った。