妄毒シチュー

「ふーん。自分を振った元カレのために、わざわざ手料理作ってあげたの?」

「そう、いい女でしょう?」

「泣きたくなるほどいい女だね。
あ、ロールパン発見!ミナちゃんパンも食べていい?」

シチューの鍋を温めながら、キッチンをあちこち漁っていた自称天使がパンの袋を見つけて振り返った。

「いいけど。そのパン賞味期限昨日までじゃなかった?」

「1日くらい平気さー」

ご機嫌な鼻唄を歌いながら、お鍋の中のシチューをかき混ぜトースターでパンを温める。

よっぽどお腹がすいてたのかな。
本当に子供みたいに嬉しそうな顔。

変な奴。


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