妄毒シチュー

「ねぇ、そんなに食べてお腹痛くならない?」

「ん?このくらい全然余裕だよ。
食べていいならあのお鍋のシチュー、全部いけるよ」

「そういう意味じゃなくてさ」


あたしの強い口調に、彼はスプーンを持つ手を止めて不思議そうに首を傾げた。

「……そのシチュー、毒入ってるよ」

お皿の中のクリームシチューを見下ろして自称天使はゆっくりと瞬きをした。



毒入りのシチュー。


あたしを振った元カレに食べさせる為に作った

悪意のシチュー。

< 27 / 122 >

この作品をシェア

pagetop