妄毒シチュー
「ねぇ、そんなに食べてお腹痛くならない?」
「ん?このくらい全然余裕だよ。
食べていいならあのお鍋のシチュー、全部いけるよ」
「そういう意味じゃなくてさ」
あたしの強い口調に、彼はスプーンを持つ手を止めて不思議そうに首を傾げた。
「……そのシチュー、毒入ってるよ」
お皿の中のクリームシチューを見下ろして自称天使はゆっくりと瞬きをした。
毒入りのシチュー。
あたしを振った元カレに食べさせる為に作った
悪意のシチュー。