妄毒シチュー
長めの髪からのぞいたその耳を眺めて呟くと
「なにが?」
自称天使はゆっくりとあたしから体を離して首を傾げた。
「あんたとコータ。正反対じゃなかった。耳の形がそっくり」
手を伸ばして、その柔らかい髪をかき上げて露になった耳を指差す。
白い、少しだけ大きめの耳。
薄い耳たぶ。
光に透ける金色の産毛。
ピアスの穴のないつるりとした綺麗な耳。
「なにそれ。耳がそっくりって、ずいぶんマニアックだね」
呆れたように笑いながら、あたしから奪った缶ビールを一気に飲み干し
クシャリ、
片手でアルミ缶をつぶした。