妄毒シチュー
拾い上げると、それは一枚の写真。
「あ、懐かしいー……」
動物園の白クマの檻の前で撮られた、ありふれた家族の写真。
ゴロン、と仰向けになって写真を眺めていると
皿洗いを終えた自称天使が寝転がるあたしを見下ろしていた。
「せっかく俺が綺麗に掃除したんだから空き缶くらい片付けてよ。だらしないなぁ」
文句をいいながら、床に転がる缶ビールを拾う。
「あたし、だらしないからフラれたのかなぁ?
よくコータにデリカシーがないって怒られたんだよな……」
写真を眺めたままぽつりと呟くと、綺麗な長い指が写真をつまんで取り上げた。