妄毒シチュー
おねがい


「ただいまー」


明るい声を出して部屋に入ってくると、窓枠にいるあたしに向かって笑うニセ天使。

「ミナちゃん、酔っ払いなんだからそんな所に座んないでよ。
下から見てたら落っこちそうでヒヤヒヤした」

「失礼な。そんなに酔っ払ってないです!」

「酔っ払いは酔っぱらってないって言うもんだよ」

彼は呆れながらビニール袋をガチャン、と音をたてて床に置いた。
あたしは窓枠に座ったまま身を乗り出してそのビニール袋の中身を覗く。

「あ、ちょっと!ビール入ってないよ?」

「俺ビールよりワインが飲みたかったからワインにした」
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