妄毒シチュー
黒い入れ物に入った赤い液体。
「なんか、黒いコップに入ってるとワインに見えないね」
「じゃあ、何に見える?」
窓辺に座って手の中の赤ワインを揺らして見せる。
明るい日差しを反射して、怪しげに光る深紅の飲み物。
「うーん、……毒?」
「あはは、確かにそうかも。ものすごく毒々しい」
まるで血みたいに、暗く深く紅いワイン。
どちらからともなくコップを合わせ、カチンと乾杯をしてから
毒みたいな赤ワインに口を付けた。