妄毒シチュー
「あ、おいしい……」
今まで赤ワインは苦手だと思っていたけど、毒々しいその赤い液体は意外なほどすとん、と喉を通り抜けた。
飲みやすい、というか、かなりおいしい。
「でしょ。ミナちゃんワイン飲まなそうだったから軽めなの選んできた」
ぐいぐい飲んでしまいたくなるあたしを見透かすように、ニセ天使は長い綺麗な指を伸ばし
「飲みやすくてもワインだから、調子に乗って一気に飲まないでね」
そう笑って、あたしの手の中の黒いカップをカチンと指で弾いた。
「あー!
昼間から飲むお酒って、どうしてこんなに美味しいんだろう!」
ヤケクソのように空に向かって大声で叫んだ。