妄毒シチュー

顔を上げると、そこにはあたしのビールちゃん達を拾い集めてくれた、すらりと背の高い美少年。
道路の真ん中で四つん這いになってビールを追いかけていた情けない女に向かって、まるで花が開くようにふわりと柔らかく微笑んだ。

「あ、ありがとうございます」

綺麗な男の人だなぁ……。
きっと歳はあたしとそんなにかわらないだろうけど、完璧なバランスで整った中性的なそのお顔は、年齢なんて関係なく間違いなく『美少年』だ。

目の前でにみとれながら缶ビールを受け取ろうとすると

「ビニール袋破けちゃったんなら、一人じゃこんなに持ちきれないでしょ。
俺家まで運ぶの手伝うよ」

美少年は爽やかに小首を傾げて微笑んだ。

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