妄毒シチュー
風邪で寝込んだコータからの
『どうしてもミナのシチューが食べたい』って電話に、慌ててシチューを作って、真夜中の街をシチューが入った鍋をカゴに入れ、コータの家まで自転車をこいだ。
ベッドの中でシチューを食べながら情けない鼻声で
『ミナのこのシチューを一生食べていられたら幸せだなぁ』って。
何回も、何回も。そう言ってたのに。
あたしも、そんなコータを見ながら
この人に一生シチューを作ってあげられたら幸せだなって。
そう思ってたのに。