妄毒シチュー
「───大丈夫」
嗚咽をこらえながら途切れ途切れに話すあたしの耳に、優しい声が届いた。
「大丈夫。嘘じゃないよ。
コータは本気でミナちゃんが好きだったよ」
まるで、子どもに言い聞かせるみたいに、ゆっくりと繰り返す優しい声。
「ミナちゃんが作るシチューを一生食べたいって、コータは本当に思ってた。
その思い出に少しも偽りなんてないよ」
まるで全てを見通す本物の天使みたいな穏やかな笑顔でそう言った。
「……なんにも、なんにも知らないクセに。
テキトーな事言わないでよ」
「知ってるよ。言ったでしょう?
俺は何でもお見通しだって」