妄毒シチュー
もうどく
「ぷっはぁ――!!」
子どもみたいにわんわんと声を上げて、気がすむまで泣き続け
やっと泣き止んで、渇いたのどに勢いよくワインを流し込んだ。
手の甲で乱暴に口元を拭うと
「ミナちゃんおっさんみたい」
大きくため息をついたニセ天使がうんざりした声をあげた。
真夏の太陽がいつの間にかゆっくりと西に傾きはじめていた。
窓から差し込む光が色づき影が少しずつ長くなる。
ヒグラシの鳴き声がする。