妄毒シチュー
「寝ていいよ、ミナちゃん。俺はもう帰るから」
綺麗な手があたしの目を覆い、優しくまぶたを閉じさせる。
もう、帰っちゃうの?
名前も何も教えてもらってないのに……
そう言葉にしようとしたけれど、まぶたを閉じた途端、強い睡魔に引きずられるように意識が遠退いていった。
ぼんやりと彼の声がする。
「ゆっくり眠っている間にきっとミナちゃんの願いは叶ってるから……」
あたしは優しい彼の声を聞きながら、深い眠りに落ちていった。