天使のような笑顔で
朝練を終え、部室で着替えていると。

足元に何か落ちているのを見つけた。


よく見れば、それは生徒手帳で。

誰のだろう?と中を開いてみると、よく知った顔の写真が目に入ってきた。


「あれ?諒斗は?」


近くにいた同級生にそう尋ねると、


「日直だからって、もう教室行ったぞ」


そう言葉が返ってきた。


届けた方がいいかな……?


俺のクラスと諒斗のクラスは離れているけれど、部室から行くなら通り道だし。

アイツの手帳をブレザーのポケットに入れ、俺は鞄を持って部室を後にした。


諒斗のクラスに着くと、アイツは教室の真ん中で女子達と何やら楽しそうに話をしていた。


声を掛けようと思った瞬間。

ふいに視界に入った彼女の笑顔に、言葉が喉で詰まってしまった。


その笑顔があまりにも安以のモノと似ていて。

思わず、安以がそこにいるかのような錯覚に陥りそうになったんだ。


安以ぐらいの長さの髪は、少し茶色がかっているけれど。

その笑顔は、安以の天使の様なモノとよく似ていて。


心臓が、大きく脈を打ち始めた。
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