天使のような笑顔で
「高崎君?」


ふと、声が聞こえ。

気付くと、すぐ目の前にこっちを覗き込んでいる彼女の顔があった。


「な、何……?」


いきなりのアップで、俺の心臓は激しく動いている。


お、落ち着けっっ!


「数学…始まってますけど?」


「えっ!?」


気が付けば、いつの間にか数学の山田先生が授業を進めていて……。


い、いつの間に!?

俺、挨拶してないけどっ。


「教科書…見せてもらってもいいですか?」


「あ、あぁ」


慌てて、机の中から教科書とノートを取り出す。

さっきのように教科書を挟んでやると、


「ありがとうございます」


そう言って、にっこりと笑ってくれた。


何だかさっきから、俺の頭の中…彼女でいっぱいになってないか?


舞い上がってるような気がして、自分が情けなかった。


別に、自分の彼女ってわけじゃないのに。

『最初の友達』って言われて、素直に嬉しい自分がいるんだ。
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