天使のような笑顔で
嫌な予感がして、俺はとりあえず走っていた。


彼女に言い寄る男は、たくさんいるだろう。

あんな所に1人にしておいた自分を、とにかく俺は責めていた。


変な目に遭ってないといいんだけど……。


体育館から、隣の武道館の方へと向かい。

プールの付近まで走って、探しに行く。


途中で知り合いに会う度に、彼女を見かけなかったかと尋ね続けた。


だけど、誰も彼女の足取りを知らなくて。


とりあえず、再び体育館の方に戻り。

今度は、逆を探しに行く事にした。


体育館の裏に回り、部室が並ぶ建物の傍を通った時だった。


「た、高崎くぅ…ん」


消えてしまいそうな声だけど、それは確かに彼女のモノだった。


「こ…ここです……」


声はするけれど、どこにいるのかが分からない。

辺りをぐるぐると見回し、その姿を探すけれど見つけられない。
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