天使のような笑顔で
「どこっ?桜庭さんっ!?」


「う、上ですぅ……」


「えっ!?」


『上』と言われ、驚いて顔を挙げると。

俺のすぐそばにあったデカイ木の幹の上に、彼女は座っていた……。


「な、何やってるの?」


何で、こんな木の上に?


「こ、この子が……」


そう言われてよく見ると、彼女の左手に何かがいた。


仔猫……?


「この子、ケガしてるみたいなんです。木の上で鳴いてるのが聞こえて見に来たら、どうも下りられなくなったみたいで……」


彼女がそう言うと、その仔猫は小さく「ミャア」と鳴いた。


木から下りられない猫って……。

いや、そんな事よりっ。


「下りれる?桜庭さんっ」


俺からしたら、猫より彼女の方が心配だ。
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