天使のような笑顔で
トサッ

そんな音と共に、その仔猫は俺の手の中に収まった。


「OK。よし、お前はちょっとここで待ってろよ?」


怯える猫にそう声を掛け、ひとまず木の根元にそっと置いてやった。


猫はこれでいいとして、あとは……。


「じゃあ、次は桜庭さん」


もう一度彼女の下に立つと、再び両手を上に広げた。


「えっ!?だ、ダメですよっっ」


だけど、彼女は首をぶんぶん横に振るだけで。


「何で?怖い?」


「怖い…のもありますけど」


「けど?」


「……高崎君が潰れてしまいますよ」


真面目な顔でそう告げる彼女がおかしくて、俺は思わず吹き出してしまっていた。


「な、何で笑うんですかっ?」


一気に、彼女の顔が赤くなった気がして。

ますます俺は、彼女をこの腕で受け止めたいって思ったんだ。
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