天使のような笑顔で
「か、カッコ悪くなんかないですよっっ。高崎君は私達を助けてくれたんですからっっ!」


そう熱く語る彼女の顔が、いつの間にか俺のすぐ近くにあった。

地面に手をつき、俺に覆いかぶさる格好で必死に語っている。


俺はというと。

思わずドキッとして、一人顔を赤くしていた。


だって、傍から見たらこの態勢……。


「知り合ったその日に、その体位かよ」


どこかから声がして、俺は慌てて辺りを見回した。


「積極的ですなぁ、真吾君は」


体育館の方向にいたのは…和也だった。


「なっ、何言ってんだよっっ」


和也の言葉の意味を察し、俺の顔はますます赤くなっていき。

その上で、意味が分からないといった感じで彼女はきょとんとしている。


「バスケ部の備品購入の件で話があったんだけど…取り込み中みたいだな」


昨日俺が出した購入申請書をひらひらとさせると、アイツはくるっと踵を返した。


「おいっ、和也っっ!」


変な誤解をされても困るんで、慌てて声を掛けた。

だけど彼女が俺の上に乗ったままなので、追いかける事もできない。
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