天使のような笑顔で
「えっ?見てない、見てないっ」


慌てて体を起こし、俺は首を横に振った。


「ほ、ホントですかぁ?」


怒ってるような、泣いてるような顔で。

彼女は、じっと俺を見てくる。


「ほ、ホント」


両手も横に振って、懸命に否定する。


「嘘じゃないですよねぇ……?」


「嘘じゃないって。ピンクのパンツなんて見てな……」


そこまで言って、自分がやらかしてしまった事に気付いた。


ピンクのパンツって……!


「嘘つきっっ」


そう言って彼女は頬っぺたを膨らませ、俺の胸をドンドンと叩いてきた。


「ごめんごめん、不可抗力だからっっ」


そう言って、後ろに体を逃がそうと手をついた時だった。


グキッ


嫌な音がして、左手首に鈍い痛みが走った。


……えっ?


不安が、頭をよぎる。


もしかして…手首イッちゃった?
< 25 / 123 >

この作品をシェア

pagetop