天使のような笑顔で
「湿布…貼るんですか?」


驚いて、そう訊いてしまった。

だって、猫に湿布って……。


「何もしないよりはマシだろ」


そう言って、ハサミでちょうどいい大きさに切っていく。


「桜庭さん、そこの棚から包帯取って」


湿布を猫の足に当てながら、先生は棚に近い彼女にそう声を掛けた。


「あっ、はいっ」


彼女は、慌てて棚に近寄り。

一番下の棚から包帯を探し出して、先生の元へと届けた。


「ちょっとここ押さえてて」


先生に指示され、彼女は仔猫の左足を恐る恐る湿布ごと押さえている。

手の空いた先生は、彼女の持ってきた包帯を器用に巻いていく。


そんな2人を見ていたら…何だか胸が少し痛んだ。


何でだろう?

2人がこう、絵になってるっていうか……。


何だか、いい雰囲気に見えてしまったんだ。
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