天使のような笑顔で
「からかったんじゃないとしたら…試したのかもな?」


何かを考えていた和也から出た、意外な言葉。


「試す……?」


何を?


イマイチ、和也の言っている意味が分からない。


「お前を、だよ」


そう言って、アイツは手にしていたシャープを俺の方に向けてきた。


「自分に気があるのかどうか、試したんじゃねぇの?」


「試して、どうするんだよ?」


「さぁ?そこまでは分かんねぇよ。ただ、試してたんだとしたら…相当な女だよな」


そう言って、和也は身震いの真似をする。


「『相当な女』って、どういう意味だよ?」


「『悪女』って事だよ」


ウインクしてくるアイツの顔を、俺はまじまじと見ていた。


誰の事を『悪女』って言ってるんだ……?


桜庭さん…安以は、悪女とは正反対の子なんだよ。


「とりあえず、深入りするのはやめとけよ」


和也の忠告は見当違いだって思いつつ、心のどこかで引っ掛かっている自分もいる。


でも、どうせ俺は彼女の『親友』なんだから。

深入りしたって、何も変わらないんだよ……。
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