天使のような笑顔で
先に生徒会室を出た俺は、昼休みの間に島崎先生の所に寄って行く事にした。


整形外科での結果を、一応報告しておこうと思って。


「リストバンドも、当分借りたいしな……」


せめて、この包帯が取れるまで。

それまでは、これで隠していたい。


左手首をリストバンドの上からさすりながら、俺は保健室の前まで来ていた。


いるかな?

いなかったら、職員室も覗いてみようか。


そう思いながら、ドアに手を掛けて少し開けた時だった。


「先生、やめて……」


中から、そんな声が聞こえてきて。

驚いて、俺はそれ以上ドアを開けれなかった。


何だ……?


「やぁっ、あぁん…ダメ……」


艶めかしい声が、聞こえてくる。

俺は、心臓をドキドキさせながら、隙間から中をそっと覗いた。


見える範囲には、人影は無い。

と、なると……。


あの、カーテンで仕切られたベッドしかない。


「そんな事言って、気持ちいいって顔に書いてあるぞ」


その声は、明らかに島崎先生のモノ。

何だか、大人の男って感じの声でイヤラシイ。


「あぁっ、はぁ…あんっ」


続いて聞こえる声は、まるで喘ぎ声のようで。

しかも、何だか聞き覚えがある気がする。


そして…それを決定づける、先生の言葉。


「桜庭さんは、見かけによらずすごいんだな」
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