天使のような笑顔で
俺って、性格悪いかも……。


廊下を歩きながら、かなり自己嫌悪に陥っていた。

こんなの、拗ねてる幼稚園児と一緒じゃないか。


「真吾っ?どこ行くんだ?」


俺達の教室は1階で、1年の教室のある3階に行こうと階段を上がりかけた時の事。

後ろから、聞き覚えのある声がした。


「ちょっと、1-Cにな」


不思議そうに見ている和也に、振り返ってそう答えた。


「?」


「また、明日な」


話し出したら、安以と島崎先生の事も言わなきゃいけなくなりそうで。

俺は、そのまま階段を駆け上がった。


久しぶりに向かう1年の教室は、幼い後輩達でいっぱいで。

何だか無性に恥ずかしかった。


すれ違う女子達が、ひそひそと俺の方を見て何か話してるし。


場違いだって事だよな……。


とりあえずC組の前に着くと、廊下の窓から中を覗いてみた。


斉藤さんは、窓際の方の席に座っていた。

友達何人かと楽しそうに話をしている。


あの分だと、痛みはひどくなさそうだな。


とりあえず、ホッとした。

と同時に、その友達がこっちを指差して何か叫びだした。


な、何だっ!?


慌てて俺も振り返るけど、後ろには別に何も変なものはない。

何だったんだろうかと顔を戻すと、斉藤さんが慌ててこっちに駆け寄って来るところだった。
< 61 / 123 >

この作品をシェア

pagetop