天使のような笑顔で
「走っちゃダメだって」


俺の前に来た彼女に、たしなめる様に声を掛けた。


「す、すいませんっ。でも、先輩が来てくれるって思わなくて」


「言わなかったっけ?授業終わったら迎えに来るって」


「いや、まさかホントに来て下さるなんて思ってなかったんで……」


そう言って、彼女は申し訳なさそうな顔をした。


もしかして、俺って信用無い?


軽くショックを受けつつ、鞄を取りに行った彼女を待っていた。


その間、どうにも後輩達の視線が痛くて。

通りすがりにジロジロ見られたりするもんだから、斉藤さんが来てくれた時には、心底ほっとした。


やっぱり、3年がこんなトコにいたら変か。
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