天使のような笑顔で
顔には殴られたような跡があって、口元が切れているらしく赤く染まっている。


そして、蹴られたりもしたようで。

制服も、かなり足跡や汚れできたなくなっていた。


「安以……」


気を失っているのか、彼女は目を閉じたままで動かない。


「安以っ、安以っっ!」


そばに詰め寄り、耳元で大声で呼びかけてみる。


すると、右手がピクッと反応して。

少し、俺の方に伸びてきた。


「おいっ、分かるか?俺だよっ、真吾だよっっ」


その右手を咄嗟に両手でつかみ、俺はもう一度声をかけた。


すると…少しずつ、安以の瞼は開いていった。


「真…吾君……?」


目の辺りも殴られているから、瞼が腫れぼったくなっている。


それでも、安以は…俺に笑顔を見せようとしていて。

切れてる口元を、懸命に上げようとしてるんだ。


「何で…こんな事してるんだよ?」


怒りに体を震わせながら、俺は振り返った。

彼女達は固まったまま、怯えたような顔でこっちを見ている。
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