天使のような笑顔で
「何で…安以にこんな事をした?」


立ち上がり、睨みつけたまま彼女達にゆっくりと近づいていく。

俺の動きに伴って、彼女達もじりじりと後ずさる。


「俺の親友に、何でこんな事するんだ?」


そう言うと、2年の時に一緒のクラスだった佐藤さんが声を震わせながら答えた。


「彼女が、抜け駆けしてるからよ」


その答えの意味を考えあぐねていると。

佐藤さんの隣のギャルっぽい子が、続けて口を開いた。


「そうよっ。高崎君の彼女だと思ったから、みんなは彼女がべったりしてても許してたの。だけど、ただの友達なら話は別だからっ」


許すとか許さないとか、意味が分からない。

大体、俺の彼女だったとして、どうしてこいつらの許可がいるんだよ?


「俺と一緒にいる事に、何で他人の許可が要るの?」


「私達が、高崎真吾ファンクラブの幹部だからよ」


ちょっと大人っぽい、リーダー格って感じの彼女がそう答えた。


また、ファンクラブかよ……。

斉藤さんが言ってたのが、きっとこれなんだな。


「はっきり言うけど、ファンクラブなんて要らないから」


「そういうわけにいかないの。これは、私らの同盟みたいなもんだから」


佐藤さんの言葉に、皆頷いている。


「高崎君が彼女として選んだ人なら、文句は言わないよ。でも、彼女じゃないんでしょ?なら、そこの彼女は抜け駆けでしかないじゃん」


俺が斉藤さんに言ったせいで、こうなったっていうのか……?

彼女だって誤解させたままだったら、安以はこんな目に遭わずに済んだって事か!?


「皆、高崎君の事好きなんだよ?私らだって、個人的に仲良くなりたいよ。だけど、憧れてる子が多いから、こうやって同盟組まないと高崎君に迷惑がかかるから……」


さっきのリーダー格の女子が、必死な形相で訴えかけてきた。


まるで、俺の為にファンクラブを作ってやってるみたいに言うけど。

迷惑なら、とっくにもう掛ってるんだよ。


俺の、一番大切な人に……。
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