天使のような笑顔で

regret

「しばらく見ないと思ったら、何でこんな事になってるんだ?」


あれから、保健室まで彼女を連れて行き。

安以の変わり果てた姿を見た島崎先生の、開口一番がそれだった。


「まぁ、いろいろありまして……」


彼女をベッドに寝かせると、意識が朦朧としているようで。

目も、開いているかどうか分からないぐらいだった。


「大方…お前のファンにでもやられたんだろうけど、これは酷いな」


察しのいい先生には、やっぱり見抜かれていたようだ。


彼女の顔や腕、足の傷の状態を確かめつつ。

顔をしかめながら、先生はそう告げてきた。


「ファンクラブなんて、どうだっていいのに」


安以がいてくれるのならば。


そう続けたい言葉を、ぐっと飲み込んだ。


「彼女、最近ずっと悩んでたぞ?」


「悩んでた?」


先生は、そう言ってベッドから離れ。

薬品棚へと、何かを取りに向かった。


悩んでいたとか、全くの初耳で。

俺なんかより大きくてがっしりとした背中に、俺はそう問い返していた。
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