天使のような笑顔で
「大丈夫…だよ」


つまらない、気休め。


そんな言葉、彼女はきっと求めていない。

今までも、散々聞いてきただろう。


だけど…上手い言葉が見つからないんだ。

彼女に、天使の笑顔を取り戻させられるような言葉が。


あぁ、俺ってホント無力な男だよ。


「高崎君は?」


ふいにそう尋ねられ、慌てて彼女を見た。


「彼女はいるんですか?」


意表を突く反撃に、かなりうろたえてしまって。


「い、いないよ」


動揺を隠せないまま、そう答える。

実際、中3の今まで女子とつき合った事は無い。


「じゃあ、一緒ですね」


そう言った彼女の表情は、さっきよりは明るくて。


少し…天使に戻ってくれた。
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