天使のような笑顔で
『やっぱり、高校でもバスケ続けるんですね』


「まぁね。これぐらいしか、取り得ないし。試合でよく合う他中の矢島って奴に、一緒の高校行かないかって誘われてるし」


他の中学でキャプテンをやってる矢島諒斗って奴とは、よく顔を合わせる事があった。

何故だか俺の事を気に入ってくれてて、一緒の高校に行こうと何度か誘われた事がある。


『そうですか……。一緒の学校に行けたら、嬉しいですもんね』


そう言った安以の声は、どことなく沈んでいる気がして。

さっきの事といい、俺は心の中で何か引っ掛かっていた。


「安以も、良かったら一緒のトコに行かないか?共学だし、電車ならそんなに遠くないし」


言おうかどうしようか、本当はずっと悩んでた。


高校っていうのは、選んだトコによってその後の人生に大きな影響があると思うし。

それを〔ただ一緒にいたいから〕っていう理由だけで、誘っていいものかどうか。


『私は……』


そこで、安以の言葉は途切れてしまった。


やっぱり、いきなり誘ったのはまずかったかな。

どんな学校かも分からないのに誘われたって、簡単には返事できないだろうし。


「ごめん、今の気にしなくていいから。まだ時間あるし、ゆっくり安以が決めればいいよ」


本音を言えば、一緒の高校に行きたいけれど。

だけどこればっかりは、仕方の無い事だから。


一緒の高校じゃないのなら、せめて女子高にいってもらいたい。


そんな事を思ってしまう俺は、束縛が強いんだろうか……?
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