only me
「これから先、この世界は
どうなっちゃうのかな…」
ナツナはユウに不安を漏らした。
それは、この世界に住む住人なら
誰でも思っている事だろう。
「今政府が動いてくれてるだろ?
魔物を撃ち殺す兵器を作るって…。
それまで我慢すれば、平気だって!!
心配しなくて良いよ」
ユウはとても前向きな少年だった。
しかしそれを踏まえなくても、不思議と
今回は大丈夫な気がしていたのだ。
「ねぇユウ、知ってる?神話」
「神話?」
ユウはナツナを身ながらとぼけた顔をした。
ナツナはくすっと笑いながら説明した。
「この世界には、裏があるんだって。
そこにはあたし達と同じ人間が暮らしてる
んだけど、条件とか生き方も違ってる。
あと、不思議なことに…」
ユウは唾を飲んだ。
「こっちの世界に存在する人間は、向こうの
世界にも存在してるんだって」
「まさか…」
自分が存在する?
自分は2人いるということか?
ユウには意味が分からなかった。
「何かロマンじゃない?他の世界にいる
自分に会って話してみたいな。色んな話…。
まあ有り得ない事だと思うけどね」
ユウはそれを聞いて思った。
最近、稀に見る夢…。
俺に少し似た少年が、同じような
場所で少女と話していた。
とても暗い空に、2人で。
「ユウは、どう思う?」
ナツナが期待をこめた目で問いかける。
不思議とユウもその話を信じていた。
「会ってみたいなあ」
「きゃあっ!!」
ふいに悲鳴が聞こえた。
街の方からだった。