猫に恋する物語
□えっとー太っててー超太っててー。灰色っぽっくてー太っててー脂肪たっぷりでー。

□あっあと喋るのっ

重要なことを言い忘れかけたと□は冷や汗をかいた。

私はというと、めっきり役に立たない。

□の横に立ってただ聞いてるだけだ。

「灰色と太ってることしか言ってないじゃないか。
ん?しゃべる猫だァ?そんなもんいるわけないだろうが。」

@えっ!?

私は思わず声を上げた。

@ここの世界の動物は皆しゃべるんじゃ・・・と言いかけて、先ほど熊の件で痛いほど身にしみたということを思い出した。

「お前さんの世界じゃ猫はしゃべるのか?」

@いいえ・・・。

「だろう?同じだよ同じ。お前さんの世界とそう変わらない世界がここなんだよ。ただ閉鎖的だがな。」 

「すまんがお前さんたちの役には立てそうにないな。冷たいようだがもうそろそろ出ていってくれ。」

「人は誰しも生きていくためには綺麗なままじゃいられないんだよ。必ず汚い部分もあわせ持つ。だが、諦めるなよ。俺が言えることじゃあないがな。人生は案外何とかなるもんなんだ。だから諦めるな。じゃあな。気を付けて行け。」


男はどこかで聞いたような言葉を私たちに告げ、とうとう私たちは追い出された。
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