猫に恋する物語
*第十一幕
□うっ。やっぱ手掛かり見つけるのは大変そうだねー。

@・・・そうね。 

私は考えていた。私たちは、これから生きていけるのだろうか、と。

男が言っていた『ルチア』とはお金のことだろう。

私たちはそんなもの一銭も持っていない。

なんと無謀な計画だったのだろう。

というかあのおばあさんも気づきそうなもんなのに。
なぜこんなにも無防備なままで送り出したのだろう。



 おばあさん。
人生は何とかなるものだけれど、今回ばかりは・・・。


そうあれこれ、私がいつものように一人で思考を巡らせていると、


「たっ助けてー!!!財布をすられたのーっ!!!!だれかぁーっ!!!。」
という声が右の通りから聞こえてきた。

@□はそこで待ってて。

私は瞬間的にリュックを下ろし声が聞こえた方に突っ走った。

すると財布を握り締めた男が必死の形相でこちらに向かって走ってくるのが見えた。
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