猫に恋する物語
「あたしの名前は大家じゃねえええええええええええ」

苦し紛れの大家様の叫びが街じゅうに響き渡る。



そして木霊する。

大家じゃねぇぇ~大家じゃねぇ~大家じゃねぇ~



自嘲するには十分すぎる時間だった。

大家様は負けを認めるように深く頭を垂れた

その様子をシルエットは不思議そうな笑顔で見つめていた。□と私はツボにはまってしばらく笑いが
止まらなかった。


頭を垂れていた大家さんもどことなく楽しそうだったのは私しか気づいていないのだろうか

私たちの間にある空気は幸せそのものの象徴のようであった。

しかし、現実は厳しい。


つぎの大家さんの言葉でその空気がものの見事に崩壊する。


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