猫に恋する物語
「いい町だ。」ホテルのおじさんが言っていたのを思い出した。

そう思っているのはそのおじさんだけのようなそんな気が、した。

誰もここを良いところと思っていないような。そんな考えが頭をよぎった。


人はみなあったかい、私が思った幻想をシルエットは真っ向から否定し、そして打ち砕いた。

そうか。私は表面しか見ていなかったのか。

以外にもストンと受け止めることができた。

ここではいつまでもどこまでいっても部外者なのだろう。

まだ客観的にみているから、こうも簡単に受け止められるのだろうか。

私に向けられていた笑顔は嘘ではなかったはずだ。

私はそう信じたい。

しかし、今思い返せば、私は微妙な均衡のなかでようやく保っているこの町に住んでいる住人、その中でもまだ人と呼ぶことができる住人にしか会っていなかったのだ。

私はどこまで行っても部外者であり、他人なのだと、蚊帳の外なのだと、そう言われた気がした。

あなたにはわからない。シルエットの目がそう言っていた。


ヒシヒシと伝わってくる痛みにも近いその思い、到底私に受け止められるような代物ではなかった。
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