猫に恋する物語
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散々わめいたあとこの少女も寝てしまった。

なんやかんや言って優しいやつだ。
俺は運がいい。

街中で、おばあさんの荷物を持つという今どき珍しい光景を見た俺は感動した。だからこいつに付いてきてしまった。そして密かに期待した。

助けてくれるんじゃないか、と。

すると突然、親切なこの少女を眺めていたのだが、手が何かを探すように当たりをさまよった。
俺はなんだろうと思い近づいてみる。


すると、、、
いきなり抱きしめられた。
うっ・・・。ちょっと痛い・・・。

しばらくして、ようやく安心したように安定した寝息が聞こえ始めた。

よく考えたら、こいつは俺にストーカーされたと思ったんだから浅い眠りしかしてないんだろう。

軽い罪悪感が押し寄せる。

あぁ。こんなあったかいのはいつぶりだろうか・・・。

そして先ほど「うちにおいでっ!」と言ってくれた事を思い出す。

本当は涙が出るくらい嬉しかった。素直にお礼が言いたかった。


あぁ。幸せだ。

そして俺は、
この少女が大好きになった。

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