猫に恋する物語
@えっと、あの?おばあさん?
私おばあさん?

「あなたは露概に会いたいのでしょう?」

スルー。 綺麗にスルー。 華麗にスルー。

@はっ?誰ですかっ? 人違いじゃ・・・。

「ああ。そーね。わからないわよねぇ。」

「あなたが・・・あぁ・・・何だったかしら・・・。えぇと・・・。め・・・め・・・めた・・・?えぇと確か何か病気の名前の略称だったのだけれど。」

ツーっと汗が、冷たい汗が背中を流れるのを感じた。

何か嫌な予感がした。

この先の、おばあさんの言葉を聞いてしまったら。

何か運命が変わってしまうような。

そんな気が、した。

そう思ったら私の行動は早かった。

□を乱暴につかんで全速力で走る。

なりふり構わず。ただひたすら、走る。



―走る―。 ―走る―。 ―走る―。


――逃げる――。



運命に背中を向ける。目を背ける。



現実逃避。 私の得意技。


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