猫に恋する物語
@あっあの美味しい果物の。

「そうそう。私があの中に手紙を入れて再び来るよう誘導したんだけれど。」

詳しくはメタボの意思で話せないんだけれど私は質問したわ。

“帰りたいか?”と。

私はメタボを返す術を持っているから 。私はここの世界の番人のようなものなの。追放された者に時々帰る機会をあたえ・・・ってこれ以上は本人に聞きなさい。

あなたが本当にメタボに会いたいのなら私はあなたを止めないし、メタボには悪いけどあなたをその世界に送ってあげるわ。」


「どうする? あなたには選択権があるわ。
あなたは日常を、平穏を捨てる勇気があるかしら。あなたは本当にメタボに会いたいのかしら。」


―そして―。


「数えるほどしか一緒にいなかったあの奇妙な猫のためにあなたはそこまでしますか?」

おばあさんはいきなり敬語になった。


まるで私の心に直接、語りかけているようだった。


「自分の今までの人生を棒に振るのですか。あの世界に行ったらもうもどる術はないと言っていいでしょう。」

「普通は・・・普通はしません。普通ならば、そこはあっさり引き下がり安定した決まった道を選びます。つまりメタボの世界に行くことを選ばない、ということです。」


おばあさんは一気にそれだけ言ってしまうと私に答えを求めるように黙った。




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