猫に恋する物語
□のお菓子の趣味はかなりの勢いで古くさい。

干し柿とか干し梅とか干し芋とか・・・って全部干してあるものじゃないか!
うわっ。スルメイカも入ってる・・・。

まぁ私も好きだから文句は言わない。

したがって古くさいとか言ってしまうと自嘲になってしまうのだ。

わたしがくだらないことをあれこれ考えていると、

□ねぇ。見てよ!上!

□が興奮気味に話しかけてきた。

そして見上げた私は一瞬言葉を失う。

□ねっ!!すごいよねっ!!星でいっぱい!!私たちの住んでる街も結構なもんだと思ってたけどこれ見ちゃうとねー。

そう。漆黒の闇にこれでもかというように星の絨毯が広がっている。

□なんかさ、この星空見てるとさ、自分の存在の小ささを思い知らされるよね。

そしてどれだけ世界が大きいのかも。 

なんにも知らないで生きてたんだなぁって思うよ。

@そうね。私たちは本当に狭い中で生きてきてた。

これまで別段狭いとも感じずに。

あたかも目の前にあるものが世界の全てであるかのように。・・・そう感じていたわ。

□じゃあさ、世界旅行をしている人は自分の中の世界を広げるためにしているのかもしれないね!

□は眼をキラキラさせながら更にまくし立てる。

□きっとさっ、きっと自分の中にある “常識”を覆すのが楽しくて仕方がないんだよ。
だから人は世界を巡るんだ。


□の瞳の中に、私は星を見た。

頭上で輝いている星が希望の光となって□の瞳にうつっている。

本当に綺麗だ。

私たちは今晩、体中に光を取り込んだ。

希望という名の星の光を。

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