猫に恋する物語
「いらっしゃいませー」

入ったとたん人のよさそうな男の声が聞こえた。

「ごめんねー今ちょっと手が離せなくてね・・」

3分ぐらい経った頃、男はようやくカウンターに姿をあらわした。

50歳くらいだろうか。

髪の毛に白いものが、まばらに混じっている

男は最初こそ人の良さそうな顔をしたものの二人を見たとたん急激に顔を豹変させた。

「おっお前ら、ここの者じゃないな。ここのものは皆、鼻が効くんだ。お前らからは違う匂いがする」

@えっ。あっ。はい・・・おっしゃるとおりです。私たちはここの世界のものではありません。

「だろうと思ったよ。悪いがお前たちを留める部屋はない。ここの世界のものはお前たちの世界のものをあまりよく思っていない」

「俺が留めたと噂になれば商売あがったりだ。ここの世界では余所者を嫌う傾向があるんだ。まぁお前たちにとっちゃ生きにくい世界だな。いい町なんだがな」


「なによりお前たちはルチアをもってないだろう。ルチアがなきゃ物は買えないし生きていくことはできないぞ」

男はそれだけ言ってしまうと私たちの背中を押してグイグイ追い出そうとする。





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