君のためなら・・・(短編)
渡さない
「紅蓮、こっちに来なさい」
「はい、姫様」
俺は、姫様、紅葉様の従者だった
だったとは・・・前世のことだから
「もう、姫なんてよばないでいいんだから」
姫様は、俺に期待をさせるようなことをいう
姫様を好きな俺に
「ありがとうございます。しかし、私は従者のみ。気安く呼ぶことは許されません」
「・・・そう」
そんなさみしそうな顔をしないでくれ
期待してしまうだろ?
俺は、知ってる。
姫様は、時雨という、人が好きなことを
そして、時雨というものも、姫様が好きなことを
だから俺は、あの時身を引いたんだ
それなのに・・・それなのに
あいつは、時雨は・・・
姫様を、幸せにするどころか、殺して
駆け落ちをしたんだ