おまもりうさぎ
第一章 神様と昔の話
私は赤ちゃんの頃、兎澤家に養子としてやってきた。
ある秋の夜。
義母である加奈子さんの夢の中に白い装束に身を包んだ女性が出てきて、ただ一言、
「何卒、みもりをお願い申し上げます」
と言ったそうだ。
朝目が覚めて、郵便物を取りに行こうと外に出たら、毛布に包まれた私が寝ていたらしい。
町の皆に心当たりがないかと聞いてまわったけれど誰も私のことを知らず、当時子供の居なかった兎澤夫妻は、私を自分たちの子として育てる事に決めたそうだ。
名前は夢の女性が言っていた通り、〝みもり〟。
字は、実りの秋に来たこと。
それから、なんとなく〝守〝の字を使わなければいけないと感じた事から〝実守〟になった。
それから八年。
小学校の二年生になった私は、超絶おっとりしている加奈子母さんと、優しいけれど少し頑固なところのある雅紀父さん。それから、優しくてしっかり者のトミ子祖母ちゃんに大切に育てられ、おっとりしているが頑固な部分もある、まぁそこそこ普通の女の子に育った。
ふたつ年下の、小学校に上がったばかりの弟との仲も良好で、ごくごくありふれた生活を送っていたように思う。