いじめられっ娘。



「――…どうして」

『あ?』

「どうしてっ!!…どうして…渡しちゃうんですか…っ」


あんなに、やめてって言ったのに。

どうして渡しちゃうの。


自分の声が、最後まで会長の元に届かなかったことが哀しくて、涙が出る。

もう嫌だ…。

会長の前では泣かないって、言ったのに…!


『お前…』

「会長はっ…お金持ちだから、あんな簡単に大金を出せるのかもしれないけどでも、あの50万はッ…会長のお母さんとお父さんが頑張って働いて稼いだ金なんじゃないですか!?毎日毎日汗水たらしてっ…働いてやっと得た、お金だったんじゃないの!?ねぇっ!」


そんな大事な大事なお金を、私なんかのために、どうして・・・


「私なんかのために、遣っちゃいけなかったのに…!どうして遣っちゃうんですかッ!!」


最後はもう、泣き崩れた。

私は貧乏だから、お母さんとお父さんの苦労を間近で見て来たから分かるんだ。

どんなにお金を稼ぐっていうことが困難で、

仕事は、身をささげないと出来ないってこと、よく分かってるから。


あんなに簡単に大金を出した会長が…憎らしかった。





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