いじめられっ娘。



「っ…もう、いいです。」

『最初からそうしていればいいんだ。』


多分、これは会長の優しさなんだと思う。

だけど…その優しささえも、強引だ。

だから…ありがたく受け取るべきなのに、こんなにもそっけなくなってしまう。


『…、何だ。課題は終わったのか。』

「あ、その…。」


私の机の上に置かれたノートを見て、会長はそう問いかけた。


「こ、この問題が…とけなくて、」

『また詰まってたのか。分からない問題は飛ばせと言っているだろう。』

「だっ、だって…。」

『まぁいい。座れ。』


でも、会長は意外と優しい。

普段、大抵はすごく俺様で、人の都合なんて微塵も考えてなくて、すごく意地悪だけど…――

私が出会った人たちの中で1番、私のことを気にかけてくれる人。

出会ってまだ間もないのに、私の心の変化にすごく敏感で、その度に声をかけてくれるんだ。

それに…言ったことは、必ず実行に移す人。

現に、私はこれまで会長以外の人から苛められたことはないのだから。





< 44 / 67 >

この作品をシェア

pagetop