番外編
そして
"りゅ、龍之介くん"
一夜経っても尚、頭の中でこだまする彼女の声。
電話越しでは何とか冷静に対処したつもりの龍之介。
少なくとも優衣には何も伝わることはなかっただろうと思う。
だが本人の心境はそんなに穏やかなものではなく。
電話を切った後龍之介は恥ずかしさのあまり机に伏せた。
そこに帰宅した姉はまるでゴミを見るような目で龍之介を見やり、更にそれを見つけた家族からの質問責め(尋問)が続いたのは言うまでもない。
「な、何の噂だよ」
頭の中に響く優衣の声を振り払うように、ぶんぶんと頭を横に振りながら健に問い掛ける龍之介。
『んー…まぁ龍にとっても悪くない噂だとは思う』