番外編
連日徹夜続きだったせいか、知らぬ間にプツリと意識が途絶えてしまったらしい。
「あー…にしても、懐かしい夢見たな」
ふとさっきまで見ていた夢の内容を思い出す。
普段あまり夢の内容を覚えていることはない。
見ていても殆んどすぐに忘れてしまうのだけど。
けれどさっきの夢だけは、やけに鮮明に記憶のなかに残っていた。
それは随分と昔の記憶。
まだ喧騒に飲み込まれる前のこと。
あの頃のことをすべて覚えているわけではないけれど、何故かあの女の子のことだけはよく覚えている。
あの姿だけは忘れていないんだ。
ただ一人、俺を救い上げてくれた人。
世界でたった一つの俺の海。