番外編
カサ、と指先に数枚の紙があたる。
そこに書かれた譜面を見て、俺はようやく夢の意味を理解した。
「これ、あの時歌ってたやつか」
それは十数年も前に俺があの子に歌った歌。
歌詞も何もなくて、人前に出す気ではなかったから当時の俺はそのまま仕舞い込んだ曲だった。
けれど新しいアルバムを出すことになって楽曲を選んでいるときにたまたまこれを見つけたのだ。
懐かしいと思いながら譜面を見れば、なかなかアルバムのコンセプトに合っていて。
どうせならこれに歌詞をつけるかと引っ張り出した。
正直、これを見つけたときはいつこの曲を作ったのかすっかり忘れていたのだけど。
でも
「…忘れるな、ってことかな?」