番外編
普通なら遅刻する!と飛び起きてもいい時間。
だが龍之介は違う。
彼にとって八時など、普通の学生の四、五時と同様。
陽が昇ったばかり同然なのだ。
そもそも起きるべき時間だという認識すらしていない。
しかも昨日は、夜にかかってきた小さな兎からの電話のせいでなかなか寝付けなかったのだ。
(…無理、ねみぃ…)
まだ寝ると決め二度寝を決行しようとした龍之介だったが、だんだんと先程の音が何の音だったのか理解しはじめる。
(…もしかして、メール…?)
瞬間、覚醒していない頭を過ったのは昨夜会ったばかりの優衣の姿で。
無意識に浮かんだその姿に龍之介はゆるゆると頭を振る。