番外編
(ない。それはない)
ぎゅっと熱くなった胸には気付かないふりをした。
しかし、見た目とは違い意外にも律儀なこの男。
届いたメールは出来るだけすぐに確認するタイプだ。
返信するかどうかはまた別の話なのだが。
まだきちんと開いていない目のまま、なんとか右手で携帯を操作してメールボックスを開く。
すると
「…タケ…?」
差出人は学校内では龍之介の唯一の友人とも言える梨本健で。
彼からのメールに龍之介は眉を寄せ首を傾げた。
龍之介がまだ寝ていることを知っている健が、この時間に連絡してくることは滅多にない。
しかも文面には【至急登校】の四文字のみ。
「…意味、わかんねぇ」