番外編
電話の相手は当然、今朝龍之介を夢の淵から引きずり上げた健だ。
明らかにテンションが低くいつも以上に声の低い龍之介とは対照的に、いつも通りの爽やかな声で喋る健。
『ごめんごめん!ちょっと急ぎのことだったからさ』
悪いと思っているのかいないのかわからない(恐らく後者)健の明るい声色に、龍之介は吐きたくなる溜息を精一杯堪える。
そのかわり、眉間のしわは大変なことになっているが。
そんな龍之介の耳に次に届いたのは、予想していなかった言葉。
でも、どこか期待していた話題で。
『ちょっと噂がたっちゃってさ〜うーがどっか行っちゃったんだよね』